阿佐ヶ谷駅北口・杉一小改築問題情報

阿佐ヶ谷の原風景を守るまちづくり協議会が運営しています。当会の活動のほか、阿佐ヶ谷の問題についての個人・団体の発信、区の動向をまとめています

1.13[みんなでプレゼン ! いっしょに描こう、杉一小の未来]のSTUDY-1[土地区画整理事業入門]の資料と動画

 2024.1.13阿佐ヶ谷の原風景を守るまちづくり協議会[みんなでプレゼン ! いっしょに描こう、杉一小の未来]のSTUDY-1 島田昭仁氏(工学博士・都市工学)による『区画整理事業の基礎』の資料です(当日資料から大幅に追加あり)(2024.2.6さらに追加:A街区に学校を建設する場合の規模感)。

 


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以下、文字起こしです。

前半が土地区画整理事業について、後半が阿佐ヶ谷北東地区について、それぞれ資料・文字起こしの順に掲載しています。

 

 

 

 

土地区画整理事業の話と、それから実際に後で皆さんで白地図の上でどんなことができるかということをシミュレーションする時に、建物としてどのくらいのものが建つのかということ、建築の話と、両方させていただこうと思っております。建築の方は建築基準法の方になりますが、土地区画整理事業の方は土地区画整理法都市計画法の話になります。私は都市計画の専門ですので、まず土地区画整理事業についてお話しさせていただこうと思っています。

細かい話をする前に、我々何度か区役所の職員の方々とお話をしている中で、区役所の方から難しいですと、事業を変更するのは難しい、困難ですと。区長からも困難です困難ですということを聞いてるんですが。あるいは、今からこの三者協定を区の一存で変えてしまうことは法的に重大な法律違反に当たるみたいなことまで書いてるんですが。そんなことはないですよって話をさせていただきたいと思います。

その一例としてこれからお見せするのはたった2枚のスライドでしかないんですけれども、埼玉県に北本市というところがありまして、そこで行われている土地区画整理事業の話をさせていただきたいと思います。ここに書いてありますように、1996年に事業認可されたものです。「事業認可」という言葉は、都市計画事業でやられたということを指しています。今回の阿佐ヶ谷の場合は「施行認可」であって、こっち(北本市)は「事業認可」。「事業認可」の方が重いんです。要するに、都市計画法で定められた、法律的に根拠がある認可だということです。「施行認可」の方はそうではないです。個人施行だったのでその個人の方々が施行するといったことを認可しますよというだけの話です。その意味では、こちらの「区画整理事業」の方が非常に重い、法的に縛りがあった事業です。それが1996年に認可されておりますが、2019年に見直しを開始しました。どうしてかといいますと、この「区画整理事業」の区域内に縄文時代の遺跡があったんですけども、そこを守った方がいいという市民運動が起こりまして、その市民運動の風に乗りまして、市長が変わりました。その三宮さんという方は、その遺跡を守るために市長になった方です。その方が市長になったと同時に事業の見直しを開始しまして、来年(2025年)都市計画変更になりました。これは「事業認可」の後でしたから、仮換地を行っておりますし、仮換地上の仮換地で当てられた土地のところですでに営業を始めている人も何人かいました。進捗率4割。もうすでに営業開始されて、道路も作られて、4割ができてるという状態の中で事業変更したという事例です。そういうこともありますので、「事業変更できない」というのは間違いです。できます。まずここまででご質問ありますか。

(質問)「事業認可」と「施行認可」の違いについて。

区画整理事業」には3つのタイプがあります。「区画整理事業」正式には「土地区画整理事業」です。3つありまして、1つが「組合施行」、2つ目が「公共施行」、3つ目が「個人施行」というものです。今回の阿佐ヶ谷の場合は、「個人施行」。

それぞれの違いは、「組合施行」というのは、事業組合を作りまして、この区画の事業地区の中の地権者の3分の2以上の合意があれば施行できてしまうという法律的な事業です。「公共施行」というのは、組合ではなくて行政が行う施行のことです。区や都や国などが行う、都市計画事業にのっとってやらなくてはいけない事業のことです。「個人施行」というのは、それに対して、民間の行う事業で、100%合意、事業地区の中の地権者が全員合意していないとできない仕組みになっております。今回はこれ(個人施行)です。一番法的な絡みが多いのは「公共施行」。これは土地区画整理法だけではなくて都市計画法が絡んでいます。2つの法律が絡んできますので、その両方の法的抑えがあるので、非常に重い事業になります。「組合施行」の方は、(「中小企業等協同組合法」と)「土地区画整理法」です。「個人施行」はいずれも「土地区画整理法」には当然載ってるんですけども、「都市計画法」は踏まなくてもいいものです。区画整理法の中でも一番緩いものになっています。

先ほどの「事業認可」と「施行認可」の違いというのは、1と2で行われたものは「事業認可」、(ただし組合施行の事業認可は「組合設立認可」という形で行われます。)(3で行われた)こちらは「施行認可」になります。この意味としては、個人というのは1人という意味ではなくて、民間という意味です。プライベートで行うという意味です。組合や行政ではないプライベートの人たちが行うもので、1人とか2人の地権者が個人の財力でやるもので、それを行政が認可してくださいというだけの話なので、「施行認可」ということになります。また、事業内容が変わったら「施行認可」をやり直して全然構いません。その度ごとにいいですよということで「施行認可」を下ろすのが、行政の役目です。一方、「公共施行」の場合は、「都市計画法」をくぐっていますので 都市計画決定を踏まえて行われてるので、それらを全部変えていかないといけないのですね。そのような縛りがありますので、こちらの方は「事業認可」という言葉になります。ということです。他に質問ありますか。

そういう事例がありますということです。詳しいことを知りたい方は「北本市の久保地区土地区画整理事業」で検索しますと、こういうものが出てきまして、この人が新しい市長です。当初は見直しできるのかなと。コロナの時に当選されて、私も関わっていたんですけども、今うまくいきまして、都市計画決定、変更ができるようになりました。

www.city.kitamoto.lg.jp

 

 

阿佐ケ谷駅北東地区・A街区(杉一小)の建築規制



 

 

[追加資料] C街区(現・河北病院/杉並区が杉一小の移転改築を計画)

 

さて、次に建築の話に移ります。今この地区にどのぐらいの建物が建てられるか。A街区、B街区、C街区がありますが、A街区に絞ってお話ししたいと思います。こちらになります。小学校のところですね。隣がB、Cですが、すでにB街区には 河北病院も建設中ですので、A街区について建築基準法でどのぐらいのものが建つのかということを説明します。まず「用途地域」というものがありまして、このピンク色のところは「商業地域」という「用途地域」になっていまして、ほとんどフリーでいろんなものが建てられる区域になっておりますが、黄色く見えているところが「近隣商業地域」で、「商業地域」の次に(制限が)ゆるい地域です。ただし、こちらの北側に、ちょっと見えづらいんですが、「第一種低層住居専用地域」という一番(制限が)厳しい住宅地域がありまして、ここの地域は制限が非常に厳しくなっています。

これからお話するのは、日影の話です。建築基準には「北側斜線」というものがあるが、今回は「北側斜線」は関係ないので考えないで、「日影規制」だけ考えればいいです。あと「高度地区」が入ってますが、結論から言うと「高度地区」も無視していいので、「日影規制」だけ気にすればいいということです。

今ここに映っているここのところが小学校跡地です。ここにこれから少し獲得拡幅される道路があって、こちら側に世尊院と神明宮があり、ここが中杉通り。そういう位置関係です。もしここにこのぐらいの高さの建物を建てたらどのくらいの日影が落ちるのかということを、シミュレーションを示しながら説明したいと思います。

この「日影規制」というのは、この北側に落とす影が、この敷地から5mから10m離れた所に対して3時間まで許される、10m以上遠い所に関しては2時間まで許される。これはさっき言った一番厳しい「第一種低層住居専用地域」の場合です。この北側にその「第一種低層住居専用地域」がありますので、そこに関してはこの適用がされるということになります。果たしてどのくらいの高さのものが建つのかということですが。仮に一番北側にあるのを20mぐらいにして、その次(南)を30m、さらにその次(南)を40mという風にしました。そうすると、だいたいこんなことをやります。冬至の日12月22日において1時間ごとにどのくらい影がかかっていくのかということをやります。まず北側の20mにした建物だけ見ていくと、多分ここ(北西側)に一番(影が)かかってくると思うので、見ていくと、朝7時にはかかってます。ただ「日影規制」というのは8時から16時までの間ですから、7時に落ちてる影は実際は関係ありません。8時にこのぐらいかかる、9時にこのぐらいかかる、…という風に見ていくわけです。16時には今度こっち側(北東側)にかかりますと。先ほどの「用途地域」で見たように、こちら側の方向(西側)には松山通りの「商業地域」が走っているので、朝7時、8時にかかってる方向の日影はそんなに気にしなくていいんです、「商業地域」ですから。「商業地域」には「日影規制」はありません。が、この15時とか16時、こちらの方向(北東側)には「第一種低層住居専用地域」がありますので、ここを気にしなければいけない。東京都の場合10mを超えた場合は2時間かかってはいけないという規制があるので、それだけ気にしてればいい。次に 先ほどの 20m、30m、40mと段々にしていった場合どうなるのか。こうやって見ていっても先ほどとそんなに変わらないというのはわかります。朝の(影の)方向は商業地域の方(北東)に向いているので関係ない。 この辺りもほとんど(影は)落ちてないです。この辺り(北)は「近隣商業地域」です その先(北東)が「第一種低層住居専用地域」。その先に(影が)かかるのはこの辺ぐらいからです。2時間以内に収まっているので大丈夫ということになります。

ざっとしたシミュレーションですが、だいたい一番北側20mっていうのはだいたい4階建てぐらい。中杉通りの方(西)から見ると、こちらの建物が一番北側になるのでこれが20m、これが30m、これが40m。欅屋敷側(東)から見た時に、(北側から順に)これが20m、これが30m、これが40m。今、(グラウンドを)「コの字型」で設計しています。この「コの字型」というのは、今小学校がある敷地そのままをさしています。今、ここに体育館、ここにサッカーゴール、こちらに校舎があります。サッカーゴールから校舎までの間に、今グラウンドがありますが、その分そのまま取った形で、今ある小学校そのまま落として、体育館がここにある、さらに広げてますけども。そういう計算でやった時に、(A街区に)実際に建てられる延床面積の合計が約12000m2ということになります。小学校はそのうちどのぐらいとれるか。土地の権利からいうと3割ですから、これを100%と考えた時にそのうちの30%とれると考えると、3600m2ぐらいの校舎の延床面積がとれる。グラウンドは今と同じぐらいのグラウンドがとれる計算になります。このようなシミュレーションでやった時に、日影上は問題ないのではないかということです。

こういうことを考えながら実際にどんなものが作れるか、ということになります。

(司会) こういう計画を、「阿佐ヶ谷の原風景を守るまちづくり協議会」として「対案はありますよ」ということで杉並区にも出しています。

今日これから考えるにあたって(の条件)は、「日影規制」が北側に2時間かかってはいけない、それでも最高高さは20mまでとれる、それから(A街区の延床)面積12000m2中の3600m2を小学校は使える、そのような感じです。